双曲線関数

三角関数と関連した関数として、双曲線関数というものがある。

$\sinh(x)$ハイパボリックサイン
$\cosh(x)$ハイパボリックコサイン
$\tanh(x)$ハイパボリックタンジェント

ここでは双曲線関数を次のように定義する。 \begin{eqnarray*} \sinh(x) = \frac{e^x-e^{-x}}{2} \\ \cosh(x) = \frac{e^x+e^{-x}}{2} \end{eqnarray*} オイラーの公式から \begin{eqnarray*} \sin(x) = \frac{e^{ix}-e^{-ix}}{2i} \\ \cos(x) = \frac{e^{ix}+e^{-ix}}{2} \end{eqnarray*} であったから、三角関数と双曲線関数の間には次の関係があることがわかる。 \begin{eqnarray*} \sinh(ix) =i \sin(x) \\ \cosh(ix) = \cos(x) \end{eqnarray*} また、次の関係式もすぐにわかる。 \begin{eqnarray*} \sin(ix) =i \sinh(x) \\ \cos(ix) = \cosh(x) \end{eqnarray*} これらの関係式を用いると、三角関数の様々な関係式から双曲線関数の関係式を導くことができる。
例として、次の等式を導こう。 \[ \cosh(x)^2-\sinh(x)^2=1 \] 導出方法. 定義式からすぐに導けるが、ここでは三角関数の性質 \[ \cos(x)^2 + \sin(x)^2 = 1 \] を用いて導出する。これはすべての複素数 $ x $ について成り立つことを仮定すれば $ x $ を $ ix $ に置き換えても良く、 \[ \cos(ix)^2 + \sin(ix)^2 = 1 \] が得られる。 ここで \begin{eqnarray*} \sin(ix) =i \sinh(x) \\ \cos(ix) = \cosh(x) \end{eqnarray*} の関係式を用いると \[ \cosh(x)^2+(i\sinh(x))^2=1 \] よって \[ \cosh(x)^2-\sinh(x)^2=1 \] が得られる。

双曲線関数の加法公式

任意の複素数 $ x,y $ について次が成立する。 \begin{eqnarray*} \sinh(x+y) = \sinh(x)\cosh(y)+\cosh(x)\sinh(y) \\ \cosh(x+y) = \cosh(x)\cosh(y)+\sinh(x)\sinh(y) \end{eqnarray*} この導出方法も先ほどと同様である。三角関数の加法公式 \begin{eqnarray*} \sin(x+y) = \sin(x)\cos(y)+\cos(x)\sin(y) \\ \cos(x+y) = \cos(x)\cos(y)-\sin(x)\sin(y) \end{eqnarray*} が任意の複素数 $ x,y $ について成り立つことを仮定すれば $ x,y $ をそれぞれ $ ix,iy $ に変えても良い。 そうすれば \begin{eqnarray*} \sin(i(x+y)) = \sin(ix)\cos(iy)+\cos(ix)\sin(iy) \\ \cos(i(x+y)) = \cos(ix)\cos(iy)-\sin(ix)\sin(iy) \end{eqnarray*} が得られる。ここで関係式 \begin{eqnarray*} \sin(ix) =i \sinh(x) \\ \cos(ix) = \cosh(x) \end{eqnarray*} を用いれば、双曲線関数の加法公式が得られる。

なぜ「双曲線」関数なのか

\[ x^2-y^2=1 \] を満たす $ x,y $ は2次元のグラフ上で双曲線を描く。 ここで、 \begin{eqnarray*} \left\{ \begin{array}{l} x=\pm\cosh(t) \\ y=\sinh(t) \end{array} \right. \end{eqnarray*} と置くことができ、双曲線の媒介変数表示ができる。これが双曲線関数とよばれる理由になる。

双曲線関数の微分公式

双曲線関数の微分法則は三角関数よりも単純になる。 \begin{eqnarray*} \frac{d}{dx} \sinh(x) = \cosh(x) \\ \frac{d}{dx} \cosh(x) = \sinh(x) \end{eqnarray*} これは定義式からすぐに導くことができる。